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The Believers サンタリア/魔界怨霊

アメリカ映画 (1987)

8才のハーレイ・クロス(Harley Cross)が、邪教の儀式で生贄にされるオカルト風サスペンス映画。ハーレイは、かなり重要な役で、映画の冒頭のキャスティングでは、主役でも脇役でもなく、最後に「and」で名前が出てくる。普通、「and」は、著名な俳優が重要な役を演じる場合に敬意を表して使われる表示法だが、それがハーレイに適用されている。役柄としての重要度を加味したものであろう。『誰かに見られてる』の1本前の映画で、かなり幼い感じのハーレイが登場する。ハーレイの作品としては3番目に「見栄えのする」作品だが、内容があまりに俗悪かつ異端的な点が残念だ。

幸せに暮らしている3人家族を、突然不幸が襲う。床にこぼれた牛乳と、コーヒーメーカーの故障が重なって母が感電死したのだ。父は、その家に住み続けることがいたたまれず、警察のセラピストの職を得てニューヨークの中心のアパートに引っ越す。ある日、息子のクリスは、父と一緒に弁護士事務所に行く途中、セントラル・パークできれいな貝を拾う。それが恐ろしい黒魔術のシンボルだとは知らずに。その直後、ニューヨークでは、少年が何かの儀式の生贄として惨殺される事件が2件続いて起きた。それは、北アフリカに由来する邪教の儀式によるもので、貝を拾ったことで3人目で最後の生贄となることになってしまったクリスは、儀式の定めで、父によって命を断たれなくてはならない。そのため、薬を飲まされ、朦朧とした状態で儀式の場に引き出された父と子の運命は… 因みに、日本語の題名の『サンタリア』というのは明らかな間違い。クリスが生贄となるのはサンタリア教とは別の邪教で、サンタリア教は、むしろクリスを助けようとする立場なのだ。

ハーレイ・クロスはかなりの頻度で登場するが、登場場面が多いと、それだけ、ハーレイらしい多彩な表情を楽しむことができる。幼いだけあって、結構可愛く、ハーレイを見るにはいい映画ではあるのだが、何せ内容が突拍子もないので、何度も観るような映画ではない。今回、手持ちのビデオではあまりに映像が汚いため、やむを得ずイギリスからDVDを取り寄せたが、そうでもなければ絶対買わない種類の映画だ。


あらすじ

郊外の住宅地。8歳の息子クリスの3人家族の朝が平和裏に始まった。昨夜は友達を呼んだパーティで明け方まで飲んでいたので、8時半だというのに父はまだ起きてこない。クリスはロッキングチェアを揺らしながら大好きな酋長の人形を見ている(1枚目の写真)。母に「さあ、食べなさい。遅刻するわよ」と言われるが、クリスは無視。母は、さらに、「いい加減になさい。第2次世界大戦を始めるつもり?」。「第3次世界大戦だ」。「困った子」。その時、コーヒーメーカーからコーヒーが溢れ始める。「8時半よ、カル」の再呼びかけで、ようやく父が起きてくる。「何で 遅いんだと言ってくれなかった?」。「言ったわよ」。「君の友達は、今朝何時に帰ったんだ?」。「あなたの友達じゃなくて? 3時頃だったわ。前なら、一晩中もったのに」。「そうなんだが、もたなくなってね」。「何が もたなくなったの?」とクリスが訊く。父は、冷蔵庫から牛乳を出そうとして床に落としてしまう。床に溢れ出る牛乳。それを見て、靴下を履きながら笑うクリス(2枚目の写真)。
  
  

夫をシャワーに追い払っておいて、床の牛乳を拭き取り始める母。その時、クリスがコーヒーメーカーから火花が出ているのに気付き、母に教える(1枚目の写真)。床には、まだこぼれた牛乳が薄く残っている。母が、その上を素足で歩いてコーヒーメーカーのスイッチに触れた瞬間、120Vの電流が体を流れ、感電したまま動けなくなってしまう(2枚目の写真)。必死で「ママ!」と叫ぶクリス(3枚目の写真)。その声を聞き、シャワーから飛び出して来た父だったが…
  
  
  

ここで映画のタイトルが流れ、背景にアフリカの怪しい儀式が映し出される。それが終わると、いきなりニューヨークの都心の映像。母を失って父子だけとなった2人が、ニューヨークの中心に引っ越してきたのだ。階段に座っているクリスが、2階に運び上げるテーブルの邪魔になったので、「クリス、お願いだから、そこ どいてちょうだい」と家政婦のカルメンに頼まれる。ただし、カルメンの言葉の半分はスペイン語なので、クリスに理解できたとは思えない。しかし、現にテーブルが階段を運び上げられてくるのだから、どかざるを得ない。
  

居場所がなくなり、1階の奥に入っていくと、ドアの向こうから父の声が聞こえる。「誰だって そうしたでしょう」。「突然だったので、体がとっさに反応を…」。父は、ニューヨークで、警官のセラピストを引き受けることになったのだ。ドアに擦り寄って話を聞くクリス(1枚目の写真)。鍵穴から中を覗いてみる。診察が終わって警官が出て来るので、急いで椅子に座るクリス。出て来た警官から、「何 持ってるんだい?」と訊かれ、「酋長ブラック・クラウド」と答える。そして、「病気なの?」とも(2枚目の写真)。それを耳に挟んだ父は、患者の守秘義務に係わる行為なので、「済まない」と警官に詫びる。警官が帰ってから、父は、「今後は、パパが仕事中は ここで遊ぶんじゃないぞ」と注意した後で、クリスが持ち込んだ絵を見る。「これは何だい?」。「花だよ。ルイズさんと、ママのために植えるんだ」。ルイズさんというのは、家政婦のカルメンのこと。そして、苗のポットを見せて、「ママが望んでる。そう思わない?」と言ってじっと父を見つめる(3枚目の写真)。
  
  
  

近くのセントラル・パークで遊ぶ父子。有名なボウ・ブリッジの上でサッカー・ボールを取り合っている(1枚目の写真)。父が、公衆電話から顧問弁護士のマーティに電話をかける。マーティ:「電話するなと言ったろ。何だい。忙しいんだ」。父:「やあ、元気か?」。「最高さ。で、アパートは素敵だろ? 全部、俺が自分で探したんだ。家主は いい女だろ? どれだけ苦労したか、分かってるのか? 手数料は、あるんだろうな?」。「黙れったら。よくやったよ。素晴らしい。気に入ってる」。「どこにいる? 15分遅刻だぞ」。「公園だ」。「公園だ? そんなトコで何してる? ここに来る約束だろ?」。「途中さ。クリスも一緒だ」。「そりゃ、素晴らしい」。「一緒でも、いいのか?」。「もちろん」。この2人、大の親友なのだ。そして、マーティはクリスが大好きときている。電話をしている間に、クリスは、池の岸の岩の向こうに姿を消してしまう。そして、女性の悲鳴が響き渡る。心配になり、「クリス!」と飛んでいく父。女性が叫んだのは、林の中で変な儀式の行われた後を見つけたから。蝋燭が岩の上に何本も立てられ、鳥の死体や、切断された猫の首などが散乱している。クリスは、地面に落ちていた不思議な貝殻を拾う(2枚目の写真)。タカラガイの殻口にカラフルな小球が一列に嵌め込まれている。弁護士事務所に向かう途中、クリスが「パパ、神様を信じる?」と意外なことを訊く。そして、父に貝殻を見せる。「これ どうしたんだ?」。「見つけた」。「どこで?」。「公園で」。「公園のどこで?」。「どこかさ。これ望みを叶える貝だ」。「どうして分かる?」。「分かるんだ」(3枚目の写真)。
  
  
  

弁護士事務所で。2人の到着を聞き、「どこだい、チビちゃんは?」と自室から受け付けまで迎えに来たマーティ。その姿を見て、「やあ、マーティ」と言って抱きつくクリス。「やあ、クリス、元気か? 朝からずっと待ってたんだぞ」。そして、さっそく、簡単な手品を見せて喜ばせる。マジックリングを取り出して、「これ見せたか?」。「2回」(1枚目の写真)。「じゃあ、離してごらん」。やっても、離れないところが可愛い。マーティと父は、母の命を奪ったコーヒーメーカーの製造元への訴訟について話している。息子のことを心配し、「クリスには証言させない」と言う父に対し、弁護士は、「クリスは大好きだ。彼は いい子だ。正直言って、彼のことは心配してない」。マーティの心配しているのは、親友のセラピストの方なのだ。「警官の話は聞けても、自分自身のことは話せないんだろ?」と労わる。そして、最後に「何でもいい、助けが必要な時は、いの一番に駆けつける」と言うが、これは後で現実となる。実に頼りになる親友だ。話が終わると、マーティは、秘書に「ジェミソン殿をお通ししてくれるかな」とおどけて頼む〔ジェミソンはクリスの姓〕。入ってきたクリスが父に抱かかえられると(2枚目の写真)、「よく見て」と言い、吸っていたタバコをハンカチに近づける。ハンカチから炎が上がり、クリスは大喜び(3枚目の写真)。
  
  
  

祖父母のアパートを訪れた父子。クリスは、さっそく祖母に拾った貝を見せる(1枚目の写真)。「きれいね。誰からもらったの?」。「見つけたんだ」。「ホント? デニスにも見せて」〔デニスは祖父〕。「これは何だね?」。「僕の貝」。「そうか、君の貝なのか?」。「うん」。「確信があるんだね?」。「そう」。父が、それを見て、クリスに「まだ持ってたのか?」と訊き、祖父には「望みを叶える貝だとか」と説明する。祖父はクリスに、「これは、何をするためのものだと思うかい?」と尋ねる。「知らない」(2枚目の写真)。「ネックレスかな?」(3枚目の写真)。最初は、無邪気な「知らない」という顔。次は、ワザと答えをはぐらかしたように見える祖父への不信感が表れた顔。わずか1秒での切り替えは、如何にもハーディらしい見事な演技だ。この貝は、「破壊と疫病の神、原始的な邪教の神の象徴」という説明がずっと後でなされる。従って、この貝を持っていることは危険極まりなく。しかも、祖父はこの貝の意味を100%理解している「邪教の主」なのだ
  
  
  

その後、祖母が昔のスライドを映写する。祖母:「これが、オサージュに行った時。指定居住地よ。覚えてる、クリス?」。「うん、酋長ブラック・クラウドをもらった」(1枚目の写真)。「デニスは矢じりを買ってくれた」。祖父:「大した記憶力だ」。ところが、次に何枚も母の写真が映し出されると、いたたまれなくなった父は席を立ってしまった。その中には、クリスがふざけて撮った写真もあった(2枚目の写真)。祖母:「あの顔見て」。祖父:「あれは、オジブワ族を訪れた日だったな。覚えてるか、クリス?」。「うん」。「マイナス40℃だった」〔摂氏と華氏も-40度は同一〕。
  
  

クリスが、家政婦のカルメンと一緒に、寝る前の歌をスペイン語で口ずさんでいる。そして、額にキスして(1枚目の写真)、カルメンは部屋を出て行く。その後、彼女は窓辺に立って、「全能の主よ、この家を凶事からお守り下さい」とスペイン語で祈る。その夜、カルメンの家の近くで、邪教に絡む殺人事件があり、生贄となった9歳くらいの少年が、むごたらしい姿で発見された。ちょうど同じ頃、恐ろしい夢を見て、叫びながら起きるクリス(2枚目の写真)。
  
  

父は家主の女性から、贈られた手製の陶器の壷の前で、女性が忘れていった腕時計を見つけ、夜、雷雨にもかかわらず通りの向かいにある家主のアパートに持って行く。そして、その夜のうちに肉体的関係を結ぶ(1枚目の写真)。家主の女性は1年前に離婚し寂しかったのだろうが、いくらなんでも速すぎるような… 一方、クリスの部屋を見にきたカルメンは、「どこで こんなものを」と言いつつ、クリスが床に落とした貝を拾って持ち去ってしまう(2枚目の写真)。
  
  

翌朝、貝がないので、クリスは部屋の中を隅から隅まで捜し、1階に降りてきて台所を捜し始める。1階には、昨夜の続きで、家主の女性もいる。「何を捜してる」と父に訊かれ、「貝はどこ?」と訊き返す。「知らんな」との返事に、「どこなのさ? 彼女が取ったの?」と指差す(1枚目の写真)。「ちょっと待て」と父。クリスは、それ以上聞かずに居間へと走って行く。そして、手を伸ばして、家主から贈られた陶器の壷をワザと落とす(2枚目の写真)。割れて粉々になる壷。「こら!」「何のつもりだ?」。「偶然だよ」(3枚目の写真)。「偶然じゃない」。「偶然だ」と言って走って逃げ出す。普段は母のことを忘れているように見えても、対立候補が現れると急に厳しくなるのだ。話は変わるが、その後、2人目の生贄の犠牲者が発見される。
  
  
  

アパートでは、クリスに対してなぜか危機感を覚えたカルメンが、クリスを守ろうとお守りの品をいっぱい並べていた。それが、父の目にとまり、「この種のものを一度でも見かけたら解雇する」と通告される。「ですけど、守るためです」。「何のためでも関係ない。迷信のたわごとの類だ。二度と見たくない」。その後で、父は、家主の女性にクリスを同行させて、オモチャ店へ向かう。女性がクリスに誕生日プレゼントを買ってあげようと言うのだ。「どれが欲しい? あれなんかどう?」と女性が言っても、クリスはそっぽを向いてしまう。見かねた父が、「さあ、自分で決めろよ」と促し、クリスは嫌々、「あれにする」と指差す(1枚目の写真)。店を出てからも、路上のアイス売りに、「アイス3つ」と注文する女性に対し、「何もいらない」とすげないクリス。彼は、父が母を忘れているように見えるのが許せないのだ。父:「おい、クリス、食べるだろ?」。クリス:「食べるもんか」。それでも、女性が渡そうとすると、アイスを手で払い、いきなり交差点に飛び出す。信号が青なので、クリスを見た車が急ブレーキをかける。そこを全力疾走で駆け抜けるクリス(2枚目の写真)。無茶な行動に激怒した父が、クリスを追っていき、捕まえ、何度もお尻を叩く。クリスは叩かれながら、「彼女のオモチャなんか要らない! 何一つ 受け取るもんか! 彼女はママじゃない!」と叫ぶ(3枚目の写真)。
  
  
  

クリスは、再び逃げ出してアパートに戻り、誕生日パーティの準備中の祖父母の前を通り過ぎて自室に逃げ込む。そこに父が追いつき、「ごめんなクリス。傷付けてしまって」「お聞き。パパは、ママのことをとっても愛してた。でも、逝ってしまったんだ」。「ママがいなくなっても構わないんだ」。「それは違う」。「もし僕がいなくなっても、平気なんだ」(1枚目の写真)。「違うったら。聞いてくれ」。「僕を叩いた」。「叩いて悪かった。二度と叩かない。約束する」「クリスは、世界の他の誰より、パパにとって大切なんだ」(2枚目の写真)。ピーターパンも使ったこの台詞を聞いて、父に抱きつくクリス(3枚目の写真)。
  
  
  

度重なる少年生贄事件の背後に「麻薬更生協会(A.C.H.E)」があることをつきとめた警察と父は、協会の実行部隊であるサンタリア教の本部と、協会の会長の双方を調べ始める。父が、内情視察のため、麻薬更生協会のパーティに出かけている間、アパートでは、クリスがうなされ続けている(1枚目の写真)。そのため、カルメンがベッドの下にロウソクを並べ、「邪悪な悪霊に打ち勝つ力を与え賜え。護りを固め賜え。私に力を与え賜え。私を護り賜え」とスペイン語で祈る。そして、クリスの頭、ついで、お腹に生卵を置き、「全能の神の御名において、悪霊よ立ち去れ」と何度も唱える(2枚目の写真)。悶えるクリス。カルメンが卵を割ると中は真っ赤だった。如何にも不気味だ。それに驚いたカルメンは、布団を剥いでクリスを抱くと、「全能の神の御名において、悪霊と戦わしめ給え」と唱え続ける。クリスは大声で叫んで暴れる(3枚目の写真)。そこに父が帰宅し、「いったい何してる? やめろ!」「離れるんだ! 出てけ!」「前に警告したろ、カルメン。お前はクビだ! 出てけ!」と、問答無用で家政婦を追い出す。
  
  
  

クリスは、祖父母とサンタフェに船遊びに行くことになる。この頃には家主の女性との関係も修復し、見送りにきた女性から、「楽しんでらっしゃい」と声をかけられると(1枚目の写真)、初めて抱きついた。そして、祖父母のオープンカーに乗り、いざ出発(2枚目の写真)。酋長ブラック・クラウドも一緒だ。3人が発った後で、父はサンタリア教の責任者を訪れ、クリスの貝を見せる。そして、「なぜ、家政婦はこれを息子から取り上げたのだろう。これはサンタリアかね?」と尋ねる。「サンタリアではない。黒魔術ブルハリアだ」「貝は、破壊と疫病の神、原始的な邪教の神の象徴だ」。「息子と、一体何の関係が?」。すると、その責任者は、昔、アフリカで、ある部族が干ばつや洪水や侵略の脅威にさらされた時、3人の少年を生贄として神に捧げたことが発端だと話す。折りしも、ニューヨークで、2人の少年が生贄として殺されている。責任者は、4日後の夏至の日に、クリスが生贄にされると警告する。驚愕する父。一方、サンタフェでは、海辺の家に滞在している祖父母の元には、麻薬更生協会の会長と、謎の黒人も加わっている。生贄にされる危険が迫っているとも知らず、桟橋で釣りをするクリス。その背後には謎の黒人が立っている(3枚目の写真)。
  
  
  

その夜、サンタフェに向かう父。何が起きるか分からないので、一番信頼する友、弁護士のマーティに同行してもらう。そして、海辺の家で車から降りる時、「預かっててくれ」とマーティに拳銃を渡す。マーティは、家の周りに異常に車が集まっていることを疑問に思い、ニューヨークに帰らず、車を暗がりに停め、じっと監視することにした。一方、父が家に入ると、祖父から酒を渡される〔薬が入っている〕。そして、祖父の話を聞かされる。それは、まだ祖父母が結婚して5年ほど経った1946年のスーダンでの話だった。現地では、50年に1度という干ばつに加え、コレラが蔓延し、部族の半分が死ぬという悲惨な状況にあった。その時、同行していた4歳の息子ダニエルが治る見込みのない病気に倒れる。すると、部族の長老がやって来て、非人道的で異様な提案をした。息子を生贄に捧げれば、部族が救われるというのだ。その提案を受け入れた結果、部族は救われ、部族の1人の子供も救われた。その子供というのが、謎の黒人だったのだ。今では、強大な呪術師に育っている。その話を聞かされながら、体がふらつくのを感じた父は、薬が混入されていると感じ、それ以上飲むのを控える。しかし、ある程度飲んだ分、意志の力がそがれている。その状態で、「クリスが選ばれた。彼が貝を見つけた。それが証だ」「我々に加わって欲しい。父親にしか(生贄を殺すことが)できないのだ」。父は、逃げ出したものの捕まり、邪教集団の集会場へ連行される〔マーティもこっそり後を追う〕。向かった先は、人里離れた廃工場の中。大きな工場の一角には、蝋燭で囲まれた祭壇が設けられている(1枚目の写真)。その真ん中に横たえられたクリス(2枚目の写真)。ふんどしだけの可哀想な姿だ。マーティは、3階に上がって盗み見ている。黒人から父に巨大なナイフが渡される。薬を飲まされた父は、そのナイフを頭上に振りかざす(3枚目の写真)。クリスも薬を飲まされているせいで、それを見ても叫び声をあげない(4枚目の写真)。そして、父がナイフを振り下ろす。ナイフはクリスではなく、すぐ横にいた憎い祖父の胸を貫く(5枚目の写真)。父は、薬で意志を奪われたフリをしていたのだ。それと呼応するように、マーティが銃で教徒を撃ち殺す。
  
  
  
  
  

麻薬更生協会の会長が、とっさにクリスをつかんで逃げる。エレベーターに乗って上に向かう会長(1枚目の写真)。まだクリスはぐったりしている。階段を駆け上って、2人を追う父とマーティ。途中でマーティは別れ、黒魔術で対抗する黒人と対峙し、持っていたライターの火を得意のマジックで発火させ、黒人の顔を焼いて目を潰した。一方の父は、息子と会長に追いついたが、間に金網が邪魔している。会長が開口一番で口にする「神はそのひとり子を賜わった」は、ヨハネの福音書3章16節の冒頭の有名な言葉だが、その後に続く邪教の発想は訳す気になれないので省略し、クリスの登場部分のみ紹介する。会長がクリスを金網に押し付け、「息子を捧げろ。神々が命を下さる」と父を説得しようとする(2枚目の写真)。父は、会話を続けるフリをしながら、金網の突破口を見つけ、会長と一対一で戦い、金属棒で刺し殺す。それを見ているクリス(3枚目の写真)。かなり意識が戻ってきている。
  
  
  

父とクリスは、一緒に逃げるが、途中まで来た時、盲目となった黒人が父に襲いかかる。それを手すり越しに見るクリス(1枚目の写真)。クリスは、目の前に深い淵があることに気付く。そして、父と黒人の戦っている場所の間に、その淵があることも。クリスは、黒人の気を引くように、首に巻かれた石のネックレスを下に落とす(2枚目の写真)。床に当たったネックレスが大きな音を立てる。その音に気付いた黒人が、「クリス?」と訊く。クリスは、「こっちだよ」と答える(3枚目の写真)。黒人:「こっちへ来るんだ」。クリス:「ダメ。あなたが、こっちへ来てよ」(4枚目の写真)。その声に釣られて前にそろそろと歩き出した黒人。目が焼けただれているので何も見えない。そして、淵へと落ちていく(5枚目の写真)。魔の手から解放され、父と抱き合うクリス(6枚目の写真)。
  
  
  
  
  
  

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